日々の生活に追われていると
だんだん、感性が鈍ってくるのが分かって、
これはマズイと思い、自分を取り戻す作業に没頭する。
しーん。としている部屋の片隅で、
真夜中の闇の中、小さな明かりをひとつ点けて
お気に入りのものを並べる。
あーでもない、こーでもないと
気が済むまで並べ変える。
並べ替えに飽きたら
ひとつひとつの手触りを楽しむ。
白樺のなめし皮のような感触や匂いや
刺繍のデコボコやチクチクを感じる。
なんだか気持ちが優しくなって
目をつぶると、女性が刺繍をしている姿や
おじいさんがベレスタを作っている姿が浮かんできて
自分が大切に思っていることが分かってきて
もう、大丈夫。と思える。
そうやって、カメラを手にする。
・・・でも、やっぱり思い通りに撮れないや。
こんな日もあるさ。
はやく、いつもの私、戻っておいでー。